グルメ日記 第2回
アントワープ「サー・アントニー・ヴァン・ダイク」

Sir Anthony Van Dijck
Oude Koornmarkt 16
Tel. 03/2316170
12 - 13:30  18:30 - 22:30
休み  日曜、祝日

さて、今回は「幻の」と表現してもよいアントワープの名店「サー・アントニー・ヴァン・ダイク」をご紹介します。
アントワープに住むグルメの誰に聞いてもこの店の名前は出てきます。しかし、ガイドブック「ミシュラン」にも「ゴー・ミヨー」にも載っていませんでした(2004年ゴー・ミヨに13点で掲載復活)。そういう意味で、ガイドブックだけを頼る外国人にとっては「幻」なのです。一旦はミシュラン2つ星まで上り詰めた高級店でしたが、オーナー・シェフはガイドブックに採点されることを拒否、また店内改装時、大胆にコンセプトを変更したのです。

ノートルダム聖堂にほど近い小さな路地を入っていくと16世紀の家屋が並ぶ中にひっそりとありました。店内は中庭を囲む形のコの字型で、奥にはバー、二階には個室があります。内装は飾りすぎず、それでいて一六世紀建造という歴史の重みを十分に感じることができます。二人用60センチ四方の大きめのテーブルには、ちょうど全体を覆うクロスが一枚、グラスも同じ大きさのもの二本と、フランス料理高級店の先入観をぶっ飛ばしてくれます。
給仕係は、給仕長を除いて全員女性。若くて背が高く、美人揃い。丈の長い生成のエプロンは今の流行のスタイル。
とにかく天井が高く、テーブルの間隔もたっぷりで気持ちよく食事ができる空間の演出は、他ではまねのできないものだと思います。

ただし、料理の方は、期待をしすぎたせいか、ちょっとがっかり。かつての二つ星をそのまま期待したのが間違いでした。なんと言ってもデモクラティックなプライスで、というのがコンセプトですから。何かのガイドブックにヌーヴェル・キュイジーヌと書いてありましたが、味付けは濃厚、メニューもオーソドックスなフレンチ。ちょっと目を引いたのが、郷土料理「ワーテルゾーイ」がメインに並んでいる点でしょうか。価格的には前菜で10Euroから、メインでも30Euroまでと大変手頃です。仕事帰りに仲間と気軽に食事をするレストランという感じ。いい雰囲気の中で、上質のフレンチをリーズナブルな値段で提供するというオーナーのコンセプトは見事に表現されていました。


ボブ
この雰囲気の中なら、大胆なヌーヴェル・キュイジーヌを味わってみたいと思いました。空間と皿の中のアンバランスが気になりましたが、新旧の混合、これこそがアントワープの醍醐味かもしれません。これはいい意味です。
レストランを経営する者なら一度は、こういう店を持ってみたいと夢見るのではないでしょうか。いろいろなことを考えさせられ、やはりもう一度行ってみたいと思わせる名店です。採点は難しいなあ...。次回に期待して今回は厳しく...     15/20

ボベット
あら、私も15点にしようと思っていたの。前菜のロブスター・ゼリー寄せ(20Euro)はよくあるものだけど、メインのホロホロ鳥をこんなにジューシーに食べさせるところはなかなかないと思う。それにとにかくこの雰囲気。採点とか考えずに気軽にきたい。でも、直前だとほとんど予約は取れないわね。夜は二交代制になることがおおいそうですよ。メニューの数が少ないのと、量が少ないのが気になりました。私もベルギー人化している?        15/20


取材:1999年3月